ベイズ的バイオシグネチャー更新

基準率と検査の質が、バイオシグネチャーの陽性信号後の事後確率をどう形作るか

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望遠鏡を良くしても偽陽性率は下げられない

装置が鋭くなれば検出の信頼性も上がる、と考えるのは自然です。しかしこの計算に出てくる偽陽性率は、その大部分がそもそも装置の性質ではありません。酸素は生命なしでも、紫外線に分解された水蒸気から蓄積しえます。ホスフィンには非生物的な生成経路が提案されており、だからこそ 2020 年の金星の主張は、望遠鏡の性能ではなく地球化学の論争へと即座に移りました。メタンは生物からと同じくらい容易に岩石からも出てきます。混同の原因が化学の側にあるとき、分解能や感度はそこに手が届きません。分子が存在することをより確信させてくれるだけで、それは初めから不確かな部分ではなかったのです。事後確率を動かせるのは、別の仕方で失敗する第二の証拠だけです。

検出は確認ではない理由

測定器がどれほど高性能でも、そもそも生命がどれほど稀かという問題の前では、その差はさほど重要ではありません。生命が存在する惑星が1000個に1個しかないなら、感度90%、偽陽性率2%の検出器でさえ、陽性と判定するのはほとんどが生命のない惑星です。稀な真の発見が偽陽性に埋もれ、事後確率は4%ほどにしかなりません。陽性信号を信じる前に、観測する前の時点で生命の存在をどの程度見込めたのかを考えてください。

無実の人を投獄する誤りと同じ

陽性を「生命確認」と読むのは検察官の誤謬です。P(信号|生命なし)とP(生命なし|信号)を取り違えるのです。裁判所もまさにこれを犯しました。1999年のサリー・クラーク事件では、証拠が偶然生じる極小の確率が誤って彼女の無実の確率として提示され、2003年に無罪となる母親の有罪判決を後押ししました。検出器の低い偽陽性率は、その世界が無生物である確率ではありません。

全プロセスの詳細解説

  1. 生命の存在確率が16%のときのバイオシグネチャ陽性判定 5 ステップ

    バイオシグネチャーの検査結果が陽性であったが、生命が存在する確率は16%である。その理由を説明し、検査に関する2つの数値のうち、実際に費用を投じて改善すべきなのはどちらかを求めよ。

    1. ベイズの定理は、陽性反応が起こる2つの経路、すなわち真の検出と誤警報の重みを比較する。どちらも証拠が得られる確率であり、そもそもそれぞれのケースがどれだけ存在するかを決定するのは事前確率である。

      P(L∣+)=P(+∣L)P(L)P(+∣L)P(L)+P(+∣¬L)P(¬L)P(L\mid+)=\frac{P(+\mid L)P(L)}{P(+\mid L)P(L)+P(+\mid\neg L)P(\neg L)}
    2. 数値を代入すると、真陽性の0.0150に対して偽陽性は0.0784となる。誤警報は真の検出を5対1の割合で上回っているが、検査自体に問題があるわけではない。単に事前確率が小さいのである。

      =0.75×0.020.75×0.02+0.08×0.98=0.01500.0150+0.0784=\frac{0.75\times0.02}{0.75\times0.02+0.08\times0.98}=\frac{0.0150}{0.0150+0.0784}
    3. したがって、陽性反応が出た場合に生命が存在する確率は16.06%にとどまり、83.94%は誤警報ということになる。これは希少疾患の医療スクリーニング検査と全く同じ計算であり、人々が同じように驚かされる結果でもある。

      =0.01500.0934=16.06%⟹83.94% false alarms=\frac{0.0150}{0.0934}=16.06\%\quad\Longrightarrow\quad 83.94\%\ \text{false alarms}
    4. オッズ形式で表すと、事前オッズに尤度比を掛け合わせるという構造が明確になる。この検査には9.375倍という倍率があり、これは確かな証拠となるが、出発点となるオッズが49分の1から始まっているに過ぎない。

      odds: 0.020.98×0.750.08=0.0204×9.375=0.191\text{odds}:\ \frac{0.02}{0.98}\times\frac{0.75}{0.08}=0.0204\times9.375=0.191
    5. ここで2つの入力値を変化させてみる。感度を0.75から1へ引き上げたとしても、証拠は最大で1.33倍にしかならない。一方、偽陽性率を0.08から0.01へ引き下げると、それは8倍になり、事後確率は60.5%に達する。

      fpr=0.01⇒60.5%;0.005⇒75.4%;0.001⇒93.9%\text{fpr}=0.01\Rightarrow60.5\%;\quad 0.005\Rightarrow75.4\%;\quad 0.001\Rightarrow93.9\%

    解答

    ツールが出力する事後確率は16.06%、誤警報の割合は83.94%、ベイズ因子は9.38である。実行に移すべき対応策はステップ5にある。感度の上限は1であり、それを改善することには限界がある。一方、偽陽性率には下限が存在しないため、そこにこそ改善のレバレッジが存在する。偽陽性率を0.001に抑えられれば、同じ陽性反応であっても93.9%を意味することになる。バイオシグネチャーの主張において、検出強度の高さよりも非生物的な説明の排除をめぐって議論が交わされるのはそのためである。分母の小ささをめぐる戦いこそがすべてなのだ。

    posterior odds=prior odds×sensfpr: the DENOMINATOR is the lever\text{posterior odds}=\text{prior odds}\times\frac{\text{sens}}{\text{fpr}}:\ \text{the DENOMINATOR is the lever}

学習の道すじ

事前確率とその由来

参考文献 (2)